悲しそうに掃除をする

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バタシー・ホーム発行のレスキュー犬を迎えるガイドブックの続きです。

トイレ・トレーニング

犬は基本的に清潔好きな動物である。
他の動物のウンチを体にこすりつけるというような行為も見られるが、
通常は自分の寝床の周りでは用を足さない。
しかし、レスキュー・センターで長い間生活すると、
環境の変化により排泄のパターンが崩れることがある。

最初は二時間おきに庭か外に連れ出す。
うまくいけばこれだけで矯正できるかもしれない。

だめな場合は以下を参考

犬がトイレに行きたくなる時を察知する。食後、起床後、遊んだ後、
エキサイティングなイベントの後、(たとえば子供たちが学校から帰ってきたあと)
たいていの犬は何らかのサインを示すものだ。
臭いをかいだり、ぐるぐる回ったり、しゃがんだり。

そこをキャッチして、すぐ庭に連れ出すか、トイレと決めた場所に連れていき、
用を足し終えるまで待っていて、ほめまくる。おやつを与える。
遊んでやるなどの褒美を用意しておく。

四六時中見張っておくわけにはいかない場合もあるだろう。
そのときは失敗してもかまわない場所を作っておいてやる。

失敗しても怒らない。失敗を許す余裕を持つこと。仕方のないことである。
トイレの最中や後で怒っても、悪いことをしているとわからせるのは難しい。
ただ恐怖に陥れるだけである。怖いから犬は飼い主にウンチやおしっこを隠そうとする。
ソファの下などの隠れた場所にしたり、あるいは食べたりして証拠を消そうとする。

こうなるとトレーニングはほぼ不可能になる。
飼い主がよく言う「この犬は悪いことをしたと知っている」とか
「罪の意識を感じている様子だ」という表現はまったくの見当違いである。
犬はただ飼い主の突然の理不尽な怒りの表現を見て恐怖と心配を示しているだけである。

猫と長く生活している私にとってこの犬のトイレ・トレーニングはかなりのストレスでした。
どうして怒られているのかわからず、混乱している犬の気持も不憫でしたが、
どこをどうやって教えていいかわからない私もすごいフラストレーションでした。
失敗しなくなったと思ったら、ある日また逆戻り。

その中で、「悲しそうにお漏らしの場所をふく」という友人からの秘伝が
かなり効果的でした。柱の陰から申し訳なさそうに見ていた犬。

長くかかりましたが、ある日ぴったり完璧にわかってくれた時には、
水の概念がわかったヘレンケラーを抱きしめるサリバン先生のように
犬を抱きしめる私でした!

新婚時代

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新しい犬がやってくる。最初の数週間はばたばたと過ぎる。
これはいわゆるハネムーン期間である。
次から次へと家の決まりごとを学ばなければならない犬は
右も左もわからないので、様子伺いのため、良い子の仮面をかぶっているからである。
この期間を過ぎると、たいていの犬は家のルールがどのくらい厳しいかをテストし始める。
かまってくれとうるさくしたり、おもちゃやご飯のことでわがままな振る舞いをしたりする。
そして飼い主の後をついてまわるようになる。これは依存症と呼ばれるものである。

飼い主は最初はまんざらでもないと思う。
犬が自分といつも一緒にいたいと思ってくれるのは嬉しい。
トイレにまでついてくるのでさえも微笑んでしまう。

しかし、外出するのが難しくなり、一分でも置いていけないということになるとどうであろう。
依存症の犬は唸ったり、吠えたりしがちだ。
留守番のときは物を壊したり、おしっこやウンチをまきちらかす。
飼い主がいないことに耐えられないからである。
その理由でバタシー・ホームに連れてこられた犬もいる。
大丈夫である。これは解決できる。

犬が十分な愛情、注意、安全を受け、 なおかつ依存しすぎないようにするための簡単なステップがある。

1. 最初の数週間はあなたにまとわりつかせないこと。
愛情をたっぷり与えてもよいが、それはあなたが決めた時間にすること。

2. ドアからドアへとついて歩くのをやめさせる。ドアを閉めて別々の空間にいさせるようにする。
依存性の強い犬は過去ずっと飼い主に触れていなければ不安になるという過去を持つ.

離れる練習をする。犬が落ち着く場所へ残し、噛むものやおもちゃを与えておく。
部屋を出るときも騒がず、静かに出ていく。一日中数回これを繰り返す。

この練習は非常に大切である。特に学校の休みが終わったときや、
あなたが犬のために仕事を休んだりした後の犬のショックははかりしれないものがある。

3.犬が本当に好きな玩具を与えなさい。
たいていの玩具は人間と一緒に遊んで初めて面白いものである。
犬だけで楽しめる玩具を探してみる。消毒した刺さらない骨。
ビスケットをつめたコング。アクティビティ・ボールやバスター・キューブ。
普段の日は隠しておいて留守番の時だけあげればありがたみが増す。

いろいろなことを試しても、一匹でいることができない犬はプロのアドバイスを速やかに受けること。

バタシー・ホームの「犬を引き取ってから」のガイドブック続きます。

我が家のレスキュー犬も最初は異常な依存症でした。
誰かにくっついていなければ生きていけない様子で、
これでは不便な犬生だろうなと同情しておりました。
いまだに強いですが、
薄皮をはがすように少しずつ回りの世界を見渡し始めているようです。
だんだん「犬」になってきているようで、里親冥利に尽きます。


奴隷か愛情か

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アガサ・クリスティ記念碑 コベント・ガーデン


基本のしつけ

外でも家でもどこでも犬は常にコントロールされていなければならない。
正しくコントロールされていることが、犬にとって安心であり、幸せなのである。

誰が先にドアを通る

餌を与えるとき、首輪にリードをつけるときなどの基本的な動きの時には
必ず事前に犬に座るように命令する。犬の興奮を抑えるため。

ドアを通るときは必ずあなたを先に通すように教える。

最初に犬と一緒にドアのところへ行く。ドアを1インチだけ開ける。
犬が先に行こうとすると、ドアをさっと閉める(もちろん鼻を叩いたり叱ったりしないように)
ドアが開くと後ろに下がらなければならない事を理解するまで無言で繰り返す。
これでドアのところで犬につっかかるといった混乱とは無縁になる。

外出の際は、犬の心理的ポイントからと飼い主の安全と快適さの理由により、
リードをひっぱらせないように訓練する。(方法については別項で説明する)

あなたは奴隷ではない

かまってやったり、愛情を与える時間はあなたが決める。

たいていの犬はアテンションが欲しいときはあたりかまわずいつでも要求する
(特にあなたの一番好きなテレビ番組のときに)
吠えたり、ジャンプしたり、自分の尻尾を追いかけてくるくるまわる。

そういうときは腕を組んでそっぽをむいて無視する。
しかし、あなたがかまってやると決めた時間には十分に遊び、
ブラッシングしたり、充実した時間を与える。
こうすれば犬と飼い主の強い絆ができ、
あなたは奴隷でないということを犬にわからせることができる。

誰が王様か

犬の中には、特に小型犬は自分のステータスを高くみせるために高いのところにいたがる。
ソファにのったり、飼い主に抱っこしろと要求する。
衛生面も含めて、犬に自分のベッドはあなたのベッドより安全で快適であることを教え、
ソファやベッドの上にあげないようにする。

大切な事は、言葉のトーンや手振りであなたの要求を犬にしっかり伝えるようにする。
自動的にわかると思わないように。

優しく愛してあげること。しかし厳しく。これを第一日目から一貫して行わなければならない。


続く

バタシー・ホームで、スタッフが犬の散歩をさせているのをよく見ますが、
ホームにやってきたばかりのほとんどの犬がリードをぐいぐいひっぱっています。
「しつけをしていない飼い主」に捨てられた犬ばかりなのでしょう。
滞在期間によりますが、新しい飼い主に渡すまで
バタシー・ホームはッ出来る限り、基本のしつけをしていきます。





素性なぞ知らなくてもよろしい

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レスキューセンターは動物の過去をできるだけ知らせるところとまったく知らせないところがある。
メイヒューホームは涙をそそる過去を紹介し、里親の母心ををかきむしる。
バタシー・ホームは明かさない。
釣り広告には彼らがこれからの人生においてどんな環境が必要かを掲載する。
どちらが良いのかわからない。それぞれのレスキュー・センターのポリシーである。
以下はバタシー・ホームのガイドブックであるが、彼らが何故素性を明らかにしないか理由がみてとれる。

計画通りに事を運ぶためのスタート

バタシー犬の多くはその過去がわからない。
街でうろついて保護されている犬が大半を占めているからである。

しかし、過去のでき事を想像しては、それにひきずられてしまい、
犬の行動をそのせいにしたり、偏見を持ったりしやすい。この犬は今はあなたの犬である。
この犬の将来はあなたの手の中にある。
この犬は真っ白な紙であり、ここに何を書くかにより、この犬との関係が決まってくる。

レスキュー・センター逗留のため、気管支炎などにかかっていれば、
もちろん注意とケアが必要であるが、甘やかしたいといという誘惑に打ち勝たねばならない。
今甘やかすと、のちのちも同じ扱いをしろと犬は要求する。
そしてこれはいろいろな問題行動の種となる.のだ。

そこで基本的な家庭のルールを作り、第一日目から厳守する。
犬の幸せは、決まったことをし、してはいけないこと、していいことを知って、
境界線をはっきり知ることなのである。悪い行動というのはたいてい混乱からきている。
ある日お父さんがソファの上に座らせる。次の日、お母さんがそれを見て怒る。
過去に悲しい思いをしてきただろうからと、最初の数週間は甘やかし、
後から厳しくしつけるというのは犬がかわいそうである。
優しく公正にしかし甘やかさない事が犬にとって必要な安定なのである。

飼い主の中には善意から出ているものであるが、
犬がくるというので会社を1,2週間休暇をとる人がいる。
これで犬は飼い主が四六時中一緒にいると思いこみ、通常の生活に戻ったとき、
孤独に耐えられなくなった言うがウンチをしたり、ものをかじったりする。
こういった事態を避けるために、連れてきた日から、
各家庭の決まりのスケジュールに従って行動する。

続く

私もそうですが、人情的に保護犬は今までの分を取り返すべく、甘やかしてしまいがちですね。
しかし動物のプロの人たちの距離のとりかたは、KIND AND FAIR BUT FIRMです。

TRY TO REMAIN CALM THROUGHOUT

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読み物としてもおもしろいホームの「犬をもらったときの必須心得ガイド・ブック」続き

4. 犬を先住犬に紹介

先住犬に紹介する一番良い方法は中立の場所を確保することであり、
これはバタシー犬はホームにいるときにすでに訓練されている。

家に連れて返るとすぐ庭か公園に連れていく。普段どおりに振舞うこと。
無理やり会わせたり、間違っても先住犬を抱き上げて
「ほら、こんにちはをしなさい」などしないように。犬同士を興奮させるだけである。

バタシー犬が来る前に家の中の先住犬のおもちゃ、毛布、ベッド、食べ物をできるだけ隠しておくように。
これは所有物や寝床などをめぐって犬同士の争いを防ぐためである。
これから数週間、犬たちが慣れてくるにつれ、共通のおもちゃなどを出すようにし、
先住犬のお気に入りのものは一番最後まで出さないこと。
少なくとも最初の3日間はごほうびやおもちゃは出さない。様子を見ながら、ベッドを出す。

5. バタシー犬を猫に紹介

猫と犬を鉢合わせさせないように用意周到に計画しておくこと。
何事にもあなたが落ち着いて対処するよう肝に銘じておく。
犬に長いリードをつけて、猫がいる部屋に連れていく。
もし紹介がうまくいかず、猫がパニックになった場合のために猫逃走路を設けておく。

犬に積極的に猫を紹介してはいけない。猫がいることを静かに気づかせる。
猫に興味を示しても気に留めないフリをする。
犬が猫から注意をはずしたときに、大げさにほめ、ごほうびをあげたりしてもよい。
こうすることにより、犬は猫を無視すると良いことが起こるというふうに学習する。

もし犬が興奮するようであれば、大きな音を出してびっくりさせる。
その音はあなたから発したものではないようにみせかける。たとえば鍵の束を落とすとか。
これで犬の注意が他にそれる。そうしたら前述のようにごほうびをあげる。

最初の顔合わせがうまくいけば、一応幸先が良いということで、
犬と猫が心地よく同じ空間に存在することができるまで、短時間でく楽しく定期的に行う。


6.犬を家族や友人に紹介

常に念頭に入れておいてほしいのが、人間が犬に近寄るのではなく、
犬に近寄らせるようにするということ。
犬が自分のペースで信頼と自信を培うことができるからである。
ドアのベルが鳴っても犬がまず走ってゲストを迎えさせない。
ゲストが落ちついて座ったときにおもむろに犬を入れる。
犬が静かに行儀よければ、ごほうびを与える。

すべてうまくいくとは限らない。
スムーズに行ったように見えても犬のボディサインには気をつけておくこと。
犬が自信を持っていれば、耳はぴんとはり、尻尾もたて、全体的にポジティブな様子である。
自信がなければ耳を後ろに倒し、尻尾は下げたり足の間に巻き込んだり、体はできるだけ低くしている。

こういうふうになった犬に近づく時は、横むきになり、姿勢を低くして接するように家族や友人に頼む。
まっすぐ目をみつめると恐れている犬をもっと不安にさせるので、目をそらすように。
犬もあなたのボディサインを読むということを忘れないように。
あなたが心配すると犬ももっと不安になる。
良い行動、勇気ある犬はすぐほめる事。そして犬ばかりに注意を向けないように。
犬に十分な時間を与えて欲しい。

最後に子供との接触は必ず大人の監視下で行われること


まだ続きます。

先住犬猫がいるから新しい犬は無理だと思っていらっしゃる方、大丈夫です!
最初から最後まで冷静であれという飼い主のコントロール能力を磨けば、道は拓きます。
仲間がいたほうが楽しいですものね。

プロフィール

ノーマンテイラー邦子

Author:ノーマンテイラー邦子
ロンドン在住/通訳・翻訳業
保護猫延べ6匹、保護犬一匹、庭にキツネ3匹ほど
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