私の新しい犬 - ロイ・ハッタスリー

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At Shaftesbury Avenue

バスター、15年以上も私と人生を共に過ごした犬。
2009年10月30日金曜日の12時15分前に死んだ。
慰めの手紙をたくさんいただき、その中には悲しみを緩和するアドバイスもたくさん含まれていた。
とりわけ多かったのは「すぐに別の犬を飼え」であった。
中には「あなたとバスターは天国の階段を今一度一緒に歩くであろうことを覚えておくように。」
というのもあったが、これに対する私のリアクションは
ジョージ・エリオットが神と不死身の人間に関してコメントしたそれと同等のものである。
「第一にありえない。第二に信じられない。」

バスターは一匹だけだ。代わりはいない。
しかし、遅かれ早かれ、跡継ぎが来ることに対する懸念はなかった。
私の懸念はいつ、いかにして私の欲しい犬を見つけるかであった。
若く活発なオス、そして類似を避けるためバスターに適度に似ていない犬。

インターネットでレスキュー・センターのサイトを探す。
レスキューセンター ― これは犬を愛することで有名な
我が祖国の恥辱であり、誇りでもある。
おびただしい数の犬が捨てられることが恥辱であり、
おびただしい数の人間が犬を飢えさせないために
時間とお金を費やしていること、これが誇りである。

サイトを見ていくと、ブリーダーの広告も目に入るようになっている。
「犬は一生のものであり、利益のためのものではない」という点において彼らは有罪である。
生後8週のスタフォード犬が通常一匹250ポンドのところをセール価格で2匹150ポンド。
不用品や、年度末の在庫一掃セールを連想する。

電話で問い合わせると、吠えない仔犬だと500ポンドだと薦められた。
とうてい仔犬たちの将来の福祉を考慮しているとは思えない。
新しい家や飼い主になじむかどうかを審査するなんて物事を面倒にするだけなのだ。
現金を持った17歳以上であれば即購入できるというわけである。

レスキューセンターは物事を違う面でみる。

北朝鮮の国境警備隊のように厳重に未来の飼い主に人物資格証明書を要求する。
何故犬が欲しいのか。犬を飼ったことがあるのか。今他に犬がいるのか。庭があるのか。
そこにサクは設置されているか。犬を飼うのにどのくらい費用がかかるか知っているのか。
毎日の散歩をいとわないか。子供は家にいるのか。家族は全員犬を飼うことを賛成しているのか。
家を訪問するがもちろんそれはかまわないだろうね。

職員と飼い主候補双方のイライラと脱力感は認める。
しかしほかの候補者に混じって座っている私はその詰問は自分には関係ないはずであった。
しかしそれは大きな間違いだとあとで気づくのだが。

今冬、レスキュー・センターは満杯だそうだ。
不景気のため犬を捨てるのが家計を削るのに一番たやすい方法であったからだ。
なので理論的には私には多くの選択が与えられているはずである。
ウエブサイトに次から次へと出てくる犬、若いオス犬、バスターに酷似している犬もいた。
ブランデル・スタフォー・ブルテリア、純血でも雑種でも人気があった。

大晦日の夜、犬のいない寂しさにさいなまれながら、私はハーリーを見つけた。
ブルー・クロスのブロムスグローブ区のサイトであった。チョコレート色のラブラドールの雑種。

私の犬だ。

雪と休日が重なりそれから3日間ハーリーに会いにいけず、苦悶のときを過ごさせねばならなかった。
彼がまだ家を探していることを切に切に願いながら。
私はブルー・クロスのあらゆるつてを頼り、メールと電話攻撃をし、
彼らの規定ぎりぎり、半日間だけリザーブしてくれるという約束をとりつけた。
1月3日の日曜日に車でかけつけたときはもう中毒症状を呈していた。

ハーリーはウエブサイトで約束された通りの犬であった。
ハンサムで愛らしく従順である。呼べば来る。命令すれば座る。綱をひっぱらずとも人間と平行線で歩く。
体重は42キロくらいはあり、まだまだ成長しているようであった。
親のどちらかはブル・マスティフであったらしい。
その恐ろしい血筋からは考えられないくらいハーリーは愛情深く、
それを示すために横に立つとよりかかってくる。
私は6フィートあり、体重もかなりあるのだが、ハーリーに寄りかかられたときよろけてしまった。

彼をつれて帰らずにいくことは裏切りのような気がした。
ブロムスグローブの辺りを一緒に散歩し、私は彼とやっていけると感じ、
事務所に戻ってハーリーをこれからダービーシャーに連れて帰ると宣言した。

しかし、なんと私の宣言は却下されたのである。

許可をおろすまでもう一度面会をしなければならないというのがブルー・クロスの決まりであった。
私は激しい失意を押さえ込みながら次の訪問までハーリーをキープしてくれるように頼んだ。

憤懣やるかたなく車を走らせ家に向かった。
半分ほど走ったところで、私が恨みに思ったブルー・クロスのポリシーの叡智を悟った。
ハーリーは私にぴったりだった。しかし、私はハーリーにぴったりではないのだ。
彼は私の年の半分の、もっとエネルギーあふれる飼い主を持つべき犬なのだ。

家から20マイルいったところにソーンベリー・サンクチュアリーというシェルターを見つけた。
感傷家がよく言う言葉の中で私があまり重きを置かなかった言葉がある。
「あなたにぴったりの犬があなたを見つける。」
これが実際にソーンベリーで起こったのである。
雪のように白い18ヶ月のイングリッシュ・ブルテリア。
クリスマスの日にボルスオーバー通りをうろうろしていて保護されたジェイクは
ケージの中から他の犬を見ている私に彼のボールを投げてよこしたのだ。

一目ぼれではなかった。それは犬を飼う一生の間一度しか起きない。
しかし私は彼をもらいうけることに決めた。(彼は永久に私のものになることはない。
法律でソーンベリーの所有物ということになっているのだ。
もし私が彼の世話の義務を怠るようなことがあればいつでも彼をひきとる権利を保有するためである。)

去勢をすませた後はレスキューセンターの犬小屋ではなく別のところで目覚めるように頼んだ。
マイクロチップを入れてもらい48時間後すべての手続きが終わった。
これでジェイクが幸せになれることを喜んだ。

そして私も。

私はもう一度犬が持てたのだ。


稿料は全額ソーンベリーサンクチュアリーに寄付

The Sunday Times 21 Jan 2010

次回はジェイクとの出会いの詳細を。



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プロフィール

ノーマンテイラー邦子

Author:ノーマンテイラー邦子
ロンドン在住/通訳・翻訳業
保護猫延べ6匹、保護犬一匹、庭にキツネ3匹ほど
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