誰か私の人生を許可なくアレンジし直したようだ

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ワシントン・ポストの記者ジョー・ヨナンの場合

もう4ヶ月も過ぎるのに、あの日のことを聞かれると、喉が詰まる。

帰宅して、ドーベルマンのレッドが寝室で死んでいるのを発見したあの日だ。
まだ身体は温かかったのに。何度振り払おうとしても消すことのできない光景である。

死に慣れていないわけではない。
父が脳溢血逝ったときも、その3年後、愛する姉が脳腫瘍との闘いに敗れたときも、
心臓が破れそうだった。

しかしレッドが死んだときは、5年前に前の犬が死んだときは、
私は長い間、立ち直れなかった。

なぜ家族と同じくらい、あるいはそれ以上の悲しみに襲われるのか。

ペットロス、カウンセラーでもあるヴァージニア大学のサンドラ・ベーカーは分析する。
「ペットは永遠不滅の忠誠心と自分に完全に依存していた存在であるからです」

同感だ。
レッドが死んだ時も前のグロミットの時も、
一人暮らしの私の心に穴が開いたぐらいの話ではなかった。
まるで誰かが私の人生を許可なしにアレンジし直したかのようであった。

たとえば、グロミットは、毎朝私がベッドに腰掛け、靴を履こうとすると、
私の足にじゃれついてくる。彼を撫でると、彼は私の顔を舐める。それが13年間続いた。

私の人生がアレンジし直されたというのはそこである。
犬が寄ってこない朝の行動に途方にくれたのである。
グロミットが駆け寄ってこなくとも
靴紐を結ぶという行為が成り立つのだということに気付くまで何ヶ月もかかった。

9ヵ月後、ノンキル・センターのデュポンセンターへ登録し、
ドーベルマンのレッドを貰ってきた。
ソファに座る私の足の上に頭をもたせかける彼の長い鼻を撫でながら、
私たちはうまくいくと話した。

レッドとグロミット、そして猫のコンスーラと私の関係は、
端的にいうとシンプルである。姉や父との関係を見るとよくわかる。
特に父とはよく揉めた。家族の愛やサポートはいつも糸のように絡みついてくる。

バーカー氏の話に戻ろう。
「ペットは無条件であなたを愛してくれます。あなたの正邪を批判しない。
あなたがそこにいるだけでそれだけで幸せなのです。
そこがペットロスの根源と言えましょう。
加えて、別れが突然であれば衝撃の度合いは大きくなります。
前米大統領、ビル・クリントンの愛犬バディが交通事故死したとき、
ホワイトハウスを後にしたときよりもずっとひどい気分であったと語っています」

バーカー氏は正しい。
グロミットは13のときにガンに罹り、あっという間に逝ってしまった。
しかし最後の数週間を一緒に過ごし、彼の死の準備をすることができた。
私の腕の中で獣医に注射をしてもらったのは本当に辛い経験だったが、
それでも彼が安らかに逝ったということは確信があったし、
少なくとも私がそこに一緒にいることが彼の安らぎのひとつだったと思っている。

健康だったはずの7歳のレッドは10月の終わり、咳をし始めた。
獣医はアレルギーだと思ったが、改善しなければ数週間後また来るように言った。

2週間後、胸のレントゲンは肺炎を指し示していた。
抗生物質が2,3日で効を発するだろうと家に戻された。
午後一時に薬を飲ませ、仕事に出た。その夜戻ったときには死んでいたのだ。

そのときの私のリアクションを描写するのは非常に痛みが伴う。
その夜、翌日、翌週、そして何ヶ月も何ヶ月もの私のリアクション。

グロミットが死んでいく時、「ありがとう」と何度も繰り返し見送った。
レッドの場合は彼の耳に届くのは叶わなかった。
私はただ「すまない」を繰り返すのみであった。

気がつかなかったのか。できる事は全部したのか。
もしああしていれば。もっと早く獣医につれていけば。
入院させるように無理を言えばよかったのかもしれない。
家にいたら助かっていたか。
少なくとも最後の瞬間私がそばにいるとわかってくれたのではないか。
そうすれば私は辛くとも、レッドにとっては少しは楽だったかもしれない。

私はライターであり、書く事によって悲しみを昇華しようとしている。
ペットロス・カウンセラーの友人は仕事を通して、
自分の逝ってしまった猫に思いを送り、
同時に自分自身の悲しみを確認していると言う。

私の記事があなたに何等かの答えを出したかどうかわからないが、
私たち一人ひとり自分たちのやり方で悲しみを乗り越えていかなければならないと思う。
そしてあなたがその方法を一番よく知っているはずである。

もう一仕事残っている。
5年前グロミットの遺灰と首輪と、手紙と一緒に写っている写真と
彼の好きだったベーグルを一緒に埋葬し、墓石にはありがとうと刻んだ。

レッドの遺灰は雪がとけてから埋葬するつもりだ。
それまでに墓石を見つけ、そしてもっと大切なことはレッドに送る言葉を考えることだ。

たぶん来年にはまた犬と一緒に暮らしていると思う。


By Joe Yonan
Washington Post


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プロフィール

ノーマンテイラー邦子

Author:ノーマンテイラー邦子
ロンドン在住/通訳・翻訳業
保護猫延べ6匹、保護犬一匹、庭にキツネ3匹ほど
ホームページはただいまサーバーの不具合で閉鎖中
少々お待ちください。
contact: alicetigger24★hotmail.com

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