ルバーブが必要だったのは愛だけだった

2013/ 10/ 19
                 
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最初に会ったとき、ルバーブは動物シェルターの檻の内側にいた。
必死に外に出ようとしていた18ヶ月のジャックラッセル・テリアはとてもやせていた。
前の飼い主がこの犬は攻撃的だとシェルターに連れてこられ、
殺処分の順番を待っていたところだったという。

狂ったように吠え、自分の体を壁に打ちつけている。
それでも私のところにやってきては手を舐める。
この犬はそんなに悪い犬じゃないのではないか。
クレージーなジャックラッセルを貰う気はまったくなかったが、
私は彼に未来を与えたかった。

ハートフォードシャーの田舎にある我が家に来たルバーブは、
すぐさま猫のフォクシーに踊りかかった。
しかし私はだんだん、ルバーブは攻撃的な犬ではなく、
怖がっているだけだということがわかってきたのである。

最初の数週間はほとんど寝ず、常に神経をとがらせ、
自分に危害を与えるかもしれないものに対して攻撃するように身構えていた。
誰かが手をあげると、叩かれると思うのかすぐ家具の陰に身を隠す。
箒を見ると同じような反応を示した。声をあげると震える。
それでも人間に対しては今に至るまで攻撃的な態度はみじんもみせたことはなかった。

ルバーブの恐怖心を克服させるためには、専門家の手助けが必要であったが、
家にきてもらったいわゆる専門家たちはみんなネガティブであった。
攻撃的だと言われたという過去を話すと「望みはないね」とか
「いつも口輪をしておかないとだめだ」という回答ばかりだった。

しかしエイデムは違った。素晴らしい動物行動学トレーナーが現れたのである。
ルバーブは攻撃的ではなく、怖がっているだけだという私の意見に同意してくれたのだ。
リハビリによって必ず克服できる。時間をかけてやること、そして一貫性。
これが犬にとって必要なのだとエイデムは言った。

ルバーブは私に信頼を寄せてくれるようになった。
だんだん静かになり、猫のフォクシーの前でも騒ぐことはなくなった。
体重も増え、尻尾も元気に振るようになってきた。
期待したよりもずっと良い進み具合である。

それとは裏腹に身障者としての私の暮らしが日々大変になってきた。
動けないし、次から次への手術で落ち込んだりフラストレーションがたまるのだ。
ルバーブが少しでも助けになるよう訓練できないかと考え始めていた。
たとえば郵便物を持ってきてくれたら、私は毎回けつまずくことはなくなるのではないか。
でもどうやってルバーブに教えていいかわからなかったし、
せっかく今まで築きあげた自信も失わせたくなかった。

インターネットで何かヒントはないかと探していたら、
チャリティ団体のサポート・ドッグというのを見つけた。
同じようなジャックラッセル・テリアがアシスタント・ドッグとして働いているではないか。
アドバイスをもらおうと連絡したところ、それ以上のチャンスを与えられたのである。
私とルバーブをパートナーとして訓練してくれると!


私たちは念入りな査定を受けて、ルバーブはトレーニングに出かけたのである。
戻って来たときの彼のスターぶりといったら!!
1年間、約400時間のトレーニングで
この小さい犬は私のサポート犬として正式に登録されたのである。
彼のおかげで私の人生はまったく違ったものになった。

ルバーブは働くのが大好きである。電話、鍵、財布、何でも家の中をかけずりまわり、
私のところに間違いなく持ってきてくれる。私が物を落とすと拾ってくれる。
洗濯物を洗濯機の中に入れることもできる。ベッド・カバーをきれいにかけ、
私の肩が痛いときは洋服の着替えも手伝ってくれる。
転んで動けなくなったときも助けてくれるように訓練されている。

私の素晴らしい犬のおかげで、自信と独立心が戻ってきたのである。
身体障害者を助ける犬のことが、みんなの間で話題になる。私の犬は非常に有名になった。

ルバーブは人にかまわれるのが好きだ。
私は以前お世話になった病院のホスピスで何か役に立てないかと考えていた。
今では週に一度、デイ・センターで、
犬に会いたい患者さんたちをルバーブをが尋ねさせてもらっている。

最初の日のルバーブを思い出す。

患者さんが自分のベッドの枕元にルバーブが座った椅子を引き寄せたとき、
彼は肘掛に頭を乗せ、「なんてビューティフル・ボーイだ」と
彼の頭と耳をなでる優しい女性の顔を信頼の目で見ていた。
ルバーブが必要だったのは愛だけだったのである。



The_Carer_-_2013_October_edition (1)




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