ハッタスリー卿の華麗なる反撃

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At Knightsbridge

12月23日にアップした「猫の飼い主のほうが教育レベルが高い」に
バスターの飼い主であるハッタスリー卿はどのように反応したか。

冗談か。

いやどうも本気らしい。

ブリストル大学の猫科疫学のジェーン・マレー博士は、何ヶ月も費やし、
「犬の飼い主よりも猫の飼い主のほうが賢い」という研究結果を発表した。

ならば、

万有引力の法則を含む「自然哲学の数学的諸原理」の下書きに、
ろうそくを倒し火をつけたテリア犬、ダイアモンドを許したアイザック・ニュートンは
頭が悪いというのか。

飼い犬ニューファンドランド犬を褒め称えた詩を書いたバイロン卿も、
長患いの折に心の支えとなったゴールデン・コッカスパニエルのフラッシュの飼い主の
ブラウニングも馬鹿だというのか。

心理学療法を受けるために待合室にいる患者たちの心をなぐさめてくれたチャウチャウ犬、
ジョーファイの飼い主だったフロイドはどうなるんだ。

60年以上前になるが、私の人生初のエッセイは小学校での「犬と猫の比較」であった。
研究費もアシスタントもなかったが、犬と猫は生涯の天敵であるといった
今日のマレー博士の研究発表と通ずるのもあった。

されど「高等教育を受け、遅くまで働き、良いとされる仕事につく人が選択するのは猫である。
犬と違って時間をとられないから」という博士の結論は幼少の私の頭には
思いもよらなかったことであり、生涯を通して犬を見てきた今の私にとっても
まったくもって解せないものである。

大学の講師がバスの車掌やトラックの運転手より長時間働くかどうかの疑問はさておき、
真の違いはライフスタイルではなく、心情的な必要性であろう。

T.S.エリオットのように猫の独立心を愛する人は多い。
月明かりのもと屋根の上に照らしだされる丸まった背中のシルエット。
ねずみを求めて静かに徘徊する姿。人間とのつきあいよりも孤独を好むその気質。
賛同はしないが猫がもたらす喜びというのはわからないでもない。

しかし、あなたが何時に帰宅しようがまったく気にも留めず、
ドアを開けたとたん、待ってましたとばかり外へ飛び出す猫と友情をはぐくんで
何がおもしろいことがあろうか。

犬は心底から家族の一員となりたいと思っているのである。
悲しみや失望を察知し、喜びを共有し、参加する。(これはある人は邪魔をするというが)
それが彼らの存在の意味なのである。

確かに要求も多いし、不便を余儀なくさせられることも多い。
天気が最悪のときに限って散歩に連れて行けという。
時間通りにえさを食べなければならない。
犬が家で待っているからと一足先に帰っていくこと。
午前7時までに朝食を終えたいと希望している犬のために早く起きなければならないこと。

しかしこれらは犬が持っている魅力のひとつひとつなのである。

思うに、犬の要求を満たすことは人間に運命づけられたものではないだろうか。
もし私が万が一犬と飼い主の強い結びつき、あるいはその至上の喜びを疑うことがあれば、
私がバスターを失った時のデイリーメールに寄稿した記事に対して受け取った数多くの手紙が
それを吹き消してくれるであろう。

多くのメッセージは哀惜の念であった。しかしそれより多かったのは犬との共同生活の喜びである。

「夫は私のもとを去ったけど、ボビーは去らなかった。」ある婦人より。

ブラウン氏は忠実で愛情深いジャックラッセル・テリアのスージーの視力がだんだん衰えて、
家の中を連れて歩かねばならなくなったとき、彼らの結びつきはますます深くなったと手紙を寄せてくれた。

オックスフォードに住むフィオーナははるかサウス・ウエールズのレスキュー・センターまで
犬のブランストンをひきとりにいった。
「甲斐がありました。素晴らしい報いです。いい犬って何かすごい希望を感じるのです。」

コーンウオールのジョアンは私に黒いラブラドールのタンジーをひきとらないかと示唆した。
タンジーはイギリスのどんな兵士よりも戦場を歩き回ったそうだ。
今は年をとり、地雷を踏む危険が高くなったので引退したそうだ。

忠実な犬と人間の結びつきよりも強いものは何も、何もない」と書いてきたのは
ウエスト・サセックスに住むヘイゼルである。

実に正しい。

犬対猫の論争は小学校のエッセイで十分である。大学がまじめに行う研究課題ではあるまい。
マレー博士の研究は時間の無駄以外の何物でもない。
家具か何かのように私たちの利便性に合わせて犬や猫を選んでいるのではない。
時間をとられるという表現は私たちが犬猫のために身を捧げているいるかのような印象を与える。
(まあ、犬の飼い主はそうだが。。)

犬を飼うのは忙しすぎる、犬に時間をとられるのはもったいないと言う人がいれば、
お気の毒に、人生の最大の喜びの一つを逃しているのである。


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写真及び原文はデイリーメールオンラインより

MAIL ONLINE

さとなおさんがとりあげてくださったおかげで
12月15日アップの「バスターが死んだんだぞ」の記事は
実に多くの方々に読んでいただくことができ、感謝感激の至りです。
ブログの仕様もまだよくわからずあばら家においでいただいたという感じで恐縮ですが、
どうぞ長い目でみてくださるようお願いいたします。

ロンドンのはてしない緑の中で、遠い空の向こうでつながる日本の方々、
世界に散らばっている同朋の方々、皆様にとって2011年が
良いお年になりますようお祈りしています。そして世界中の動物たちも。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。

ノーマンテイラー邦子


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Author:ノーマンテイラー邦子
ロンドン在住/通訳・翻訳業
保護猫延べ6匹、保護犬一匹、庭にキツネ3匹ほど
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