いつも二人で眺めていた美しい景色があるーデューク最後の日

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ハリーとデュークの最後の日は完璧なものになった。

ハリーのメモ

●ハンバーガーとベーコン2枚
●消化を助けるためにソファの上で横になってもよい
●二階に上がることを許される。
主人が命令したとき、棚からランニング・シューズをもってきて
主人が服装を整えるのを手伝わせる。
●庭でお気に入りの赤いボールを追うゲームを数回行う
●池までの短い散歩。池にちょっと入り、またあがってくる。
それを12回やる。やるたびにレバーのおやつを与える。
●家に戻って昼寝
●郊外の公園でゆっくり散歩
●2,3マイル歩いたところで一時間ほど美しい景色を一緒に見る。
デュークにとって興味深い匂いをかいだりしてもよい。
●休憩をたっぷりとりつつゆっくり家に戻る
●夕食は細かくきざんだ高価なサーロイン・ステーキ
●ソファに座って主人が好きなクリント・イーストウッドのフィルムを一緒に見る。
●二階の部屋の主人のベッドの上で静かに横になる。

イラク戦争の兵士であったミネソタ州出身のハリーは
戦線で疲れた精神をコリー雑種のデュークにどれだけ癒されたことであったろうか。

彼の忠実な友が心臓病のためあまり長くないと聞かされた時、感謝の気持ちを伝えるために、
最後の素晴らしい日を過ごそうとデュークに告げ、その約束を実行した。
ハリーはデュークが大好きだったこと全部やるために会社から休暇をとり、上のメモを作った。
いつも元気で、エネルギーがあふれ、散歩、仕事、食べ物が大好きなデューク。
赤いボールとフリスビーが特にお気に入りだった。

明日のための買い物から戻るとデュークが犬用ベッドで昼寝をしていた。
「友よ」と彼はささやいた。
「明日はお前のためだ。お前の完璧なる一日のためだよ」

妻のデビーに計画を打ち明けるのはちょっと恥ずかしかった。
しかしデビーはイラクから戻ってきて病み疲れたハリーが
どれだけデュークに励まされたかを誰よりも知っている。
戦場では笑うことなぞなかったハリーは、
家に戻ってきてデュークを見るたびに微笑まずにはいられなかった。

準備は前夜から念入りに施されていた。翌朝8時に特別な日が始まった。
まず、ハリーはベーコンとハンバーガーの特別な朝食をデュークのために作った。
デュークは人間の食べものは禁止されており、
ハリーが「オッケー、ボーイ」と言うのを待って、
自分のボウルから2,3口で飲み込むのが常であった。

次の褒美は普通は二階に上がるのを許されていなかいのだが、
今日は後ろからついてきてよいことになった。
ハリーが「スニーカー!」というとデュークは洋服ダンスに走りより、
主人の白いランニングシューズをもってくる。
デュークの好きな遊びだった。

庭で赤いボールを追いかけたあとは町の池へ遊びにいく。
そこでのゲームでレバーの褒美を好きなだけもらった。

昼寝をしたあと、負担のかからないまっすぐな道を選んでゆっくり公園へとむかう。
いつも二人で眺めていた美しい光景がある。
小一時間座り、美しい景色を楽しんだ。デユークは空気の匂いをかぐ。

デュークはくたびれただろうから、休憩をとりながら、ゆっくり家路につく。

家に戻ると夕食の時間だ。
今日はドッグフードではなく、細心に砕いたプライムサーロインステーキを
デュークのためによけておいたものがある。

夕食後は居間で、ハリーの好きなクリント・イーストウッドの映画をソファでみる。
デュークはソファの上に登り、ハリーの膝の上に頭をのせ、眠りに落ちる。
ハリーはそっと犬を二階の自分のベッドの上の端に寝かせる。

残念だが、この楽しい日の数週間後、デュークは死んだ。
ハリーは庭に大きな穴を掘り、骨と首輪と好きだったボールを一緒に入れた。

ハリーはペットの病気に苦しんでいる友人たちにこの話しを聞かせた。
多くの人たちも同じようにしようと言う。
偉大なる犬たちに先立たれる人々へデュークが残した財産である。


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ノーマンテイラー邦子

Author:ノーマンテイラー邦子
ロンドン在住/通訳・翻訳業
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