美しく控えめで自己主張できない日本人

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At Neal's Yard

作家高橋克彦さんの寄稿記事より
以下抜粋

今もニュースでは福島の警戒区域にようやく一時帰宅を許された人が、
残してきた愛犬の死を確認して体を震わせている映像が流された。
まったくやり切れない。
自分の猫がたった一匹取り残され、
私や家内にもう一度抱かれたいと願いながら死んだと創造するだけで涙が溢れる。

この非常時に自分ひとりのわがままとは思わない。
ペットに慰められ、生きる力を得たことだってあるのだ。
動物だっておなじ地球に生きている仲間ではないか、
人間だけなぜ偉い、とあえて言っておきたい。
どこかでは仕方ないと思いつつ、伝染病に冒された可能性のある牛や鶏が
何万と処分される光景を見過ごしてきた。
もちろん私などには解決策など何ひとつない。
それでも見過ごしたままでよかったのかという慙愧の思いが今でもある。

これはもしかすると永かった封建社会の「個」の大切さを常識では輪かっていても、
「個」の主張は恥ずかしく卑しいものではないかとどこかで思っている。

牛や鶏を簡単に殺すのは良くない、と内心では怒っていても、
全体の幸福を考えれば反対など口にすべきではないと引いてしまう。

被災地の現実に自分のペットを優先させるわけにはいかない。
なんと美しく控えめで自己主張できない日本人よ。
この国の繁栄を支えてきたのは皆であるはずなのに、
その自覚を持っているのは一人もいない。
ペットの命を守ることすらできない。

だからこそ政府も自覚しなくてはならない。
あなたたちが預かっている民は、きっと世界でも有数の優しく暖かな民なのだ。
その民を守るべき立場にあなたたちは居る。



有事のときに動物を置き去りにしていくことがおかしいと
伝染病に冒されたかもしれない生き物を何万も殺戮することは
おかしいのではないかと主張できない美しいほど控えめ日本人




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プロフィール

ノーマンテイラー邦子

Author:ノーマンテイラー邦子
ロンドン在住/通訳・翻訳業
保護猫延べ6匹、保護犬一匹、庭にキツネ3匹ほど
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