いつか必ず来る日


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神奈川県動物保護センターの登録ボランティア第26号に
ドッグトラスト・インターナショナル・トレーニング・プログラム最終日を
掲載させていただきました。

ボランティア通信26号

ボランティアの皆様にイギリスの活動をお伝えする機会をくださった
保護センターの皆様へは感謝の気持ちで一杯です。ありがとうございました。

世界のどの国にも良い人と非道悪人がおります。
動物福祉保護法と共に200年歩んできたイギリスとて、例外ではありません。

しかしこの国の動物保護チャリティ団体の健全な経済力、組織力、
横との結束力、社会的発言力などは素晴らしく、
「こりゃいいね、どれをどうやって日本にもってこようか」
と盗みどころ満載です。

その際にいつも適わないと思わせられるのが
生まれる前から根付いているイギリス人のチャリティ精神ですが、

大丈夫です。

「ひとりひとりができることから始める」

これです。ここからチャリティ精神は始まるのです。

そしてPETAの創始者のイングリッドが常に言うところの

「たとえ一人の力でも物事を動かせるということを微塵にも疑うなかれ」
Never doubt that one person can make a difference.

を胸に灯しながら、いつか必ず来る日を目指して進んでいこうではありませんか。


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どんな事があってもポジティブでいましょうとクラリッサは言う DAY 4 FINAL DAY

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Day 4

最終日、ロンドンにあるドッグ・トラスト本部へ
地下鉄エンジェル駅から徒歩数分。ビルまるごとが本部でした。

2013-12-04.jpg Photo from Dogs Trust


本日の講義:

世界の動物の頭数コントロール・マネージメントについて
マスコミの活用
インターネットの力(ドッグ・トラストのSNS)
効果的な資金集め(ドッグ・トラストの資金活動のケース・スタディ)

そして今回のコース締めくくりは
ドッグ・トラスト会長のクラリッサ・ボールドウィンさんとミーティング。

参加者は自国の動物シェルター活動状況を説明し、
今回のコースで何を国に持って帰ることができるかをクラリッサさんに報告しました。

article-1324391-0BCBF4EF000005DC-403_468x643.jpg photo from Dogs Trust

動物の福祉の向上に貢献したとして2003年に大英帝国勲章を受け、
今年10月に引退するクラリッサさんはとてもエレガント。

クラリッサさんは破産状態だった40年前のトラストにPR部長となりました。
瀕死のトラストにまず彼女が行ったことは、
以前の長い覚えにくいThe National Canine Defence League (NCDL)を
ドッグ・トラストに変えた事です。

その時から組織は皆にどんどん認知されるようになりました。
(今回も参加者のシェルターの名前を聞きながら
短くてインパクトのある名前に変更したほうが良いですよ」とアドバイスしていました)

そして次から次へとアイデアを打ち出し、
有名なスローガン”A Dog is for Life, not just for Christmas”は
トラストのトレー・ドマークなり、現在はイギリスで最大の犬のチャリティとして
モデル・シェルターとなっています。

クラリッサ会長はミーティングの冒頭に次のように言いました。

「たった今リホームした犬が家族を噛んだという報告を受けました。
調査し対応しています。いろいろ大変なことは起こりますが、
いつもどんな事があってもポジティブでいましょう」

IMG_0922 (Mobile)

4日間の濃縮コースを簡単にまとめましたが、
資料はすべてドッグトラストのサイトからダウン・ロードできます。

そして最後に、私のトラストに対しての個人的な思いを。

1957年、各国の宇宙戦争が盛んになり始めたころ、
ロシアのロケットにたった一匹で乗せられた犬のライカは、
熱さとストレスと恐怖の中で宇宙のくずとなりました。
私はライカを思うたびに(そしてたびたび今も思うのですが)胸がしめつけられます。

しかし地球の反対側で私と同じように心を痛めたドッグ・トラスト(以前のNCDL時代)は
ロシアのスペース実験に犬を使うのを反対するキャンペーンを行い、
ライカのために一分の黙とうをささげるようにしたという話を聞いて、
心を痛めているだけではだめなんだと思いました。
自分にできることなどたかがしれているとあきらめない。
誰も何もしなければ、何ひとつ変わることはないと確信しました。


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誰がやっても同じようにできること DAY 3


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9月3日 Day 3

本日のメインは「シェルター犬の行動と取扱いトレーニング」

先日のブログ「動物たちの命が滑り落ちて行くのを見ればよい」でもご紹介しましたが、
飼い主がいなくなり今までと全く違った環境に置かれた犬の不安と恐怖のストレスは測りしれません。


可愛がられてきた犬でもたいていは一週間で攻撃的になる。
性格の優しい犬でもこの状況下では歯をむくようになる。


「シェルターの犬が攻撃的になり、噛みつくのは何故か」

怖いからです。


ドッグ・トラストではセンターに入ってくる犬は、
まず犬の心理行動訓練士が査定し、
問題行動があれば、訓練し、譲渡可能な犬に育ていきます。

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それでもどうしても他の犬といるのがハッピーではない、
どうしても人間におびえて攻撃的な部分が矯正できない犬たちはどうなるかというと、
トラストが寄付してもらった住宅(ホープ・ハウスと呼ばれます)で終生住まわせるのです。
写真も見せてもらいましたが、最後まで引き取り手のいなかった老犬たちもいて、
みんな幸せそうに暮らしていました。

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午後からは開発途上国で
ドッグトラストやRSPCAのチームと組んで犬を捕獲してきた
その道40年の先生が野良犬の捕獲方法を講義。

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最後は
アフリカで象を保護していたイギリスの獣医たちが設立した
世界の国々に獣医や薬を届ける福祉団体
Worldwide Veteinary Serviceのお知らせでした。

あまりにも素晴らしすぎて、返って落ち込むという気持ちにしばしばとらわれたのですが、
繰り返しトラストが言うのは
「私たちが150年かけてここまで到達したノウハウをそれぞれのお国にお持ち帰り、
どうぞお国の犬たちのために役立ててください。これがそのプログラムの目的です」

追記

Standard Operation System について

マニュアルに沿ってやれば、誰が見てもわかる、
誰がやっても同じようにできるという概念です。
あの人がいなければこれができない、あれができない、
自分たちのセンターは自分たちのやり方でやる、ではなく、
誰でもどこでも均質の仕事をするためのスタンダード・マニュアルです。

ドッグ・トラストはイギリスに20センターありますが、
それぞれの地域で別々のことをやっているのではありません。
スタンダード・オペレーション・システムにのっとり、
全てのセンターが同じ手順で同じスローガンのもと日々運営されています。

これは政府、学校、病院、企業などすべてのイギリスの組織の骨格となっております。

全員が胸に抱くトラストの使命 DAY 2

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DAY2

火曜日はドッグ・トラストのリホームのプロセスについて

リホームに適する犬の選別
犬を見せる準備
飼い主候補者のチェックと面接
犬とのマッチング
譲渡後のフォローアップとサポート
ボランティアの役目

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「言い方は悪いのですが」とセンター・マネージャー
「商品をいかに良く売るかというビジネス・マインドを持ってください。
スーパーを考えるとわかりやすいですよね。

犬が欲しいと思って見に来る人たちは興奮しています。
ドアを開けた瞬間は雰囲気に慣れるのに時間がかかり、
一番最初の犬たちをちゃんと見ていません。
歩きながらいろいろな犬を見つつ、感触がつかめてくるのです。
ということは出口に近い犬のほうが
引き取られる可能性が高いということです。
(スーパーのチェック・アウトの棚の法則)

これを念頭にいれ、長くいる犬を出口の近くに配置したりして、
入れ替えをします。また他の犬との組み合わせも重要です。
大きい犬と小さい犬を一緒にいれると
相互作用でお互いの利点が浮き彫りになり、
大きな犬を探しに来た人でも「あ、小さい犬も可愛い」と思ってくれるのです。

譲渡の準備ができていない犬は奥にある鉄棒のついたケージに収容し、
一般の人に見せる犬は鉄棒ではなく、透明なプラスチックの部屋に入れます。
鉄棒だと、犬が怖がって吠えるし、なんだか刑務所を連想させるからです。

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センターは明るくハッピーな場所でなければなりません。

私たちの能力には限りがあり、間違いも起こします。
しかしいかなるときもどんな状況のときも全員が
胸に抱くトラストの使命に戻り、
そこですべてを判断することが大切なのです」と所長さんからの説明。

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午後から犬の必要性に応じたシェルター建築、デザインを学ぶ。
その後イギリス最大の猫チャリティ、キャットプロテクションのスタッフによる
猫の感染症を説明

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寄付で集まった本で作ったドッグ・トラストのブック・ストア。
結構な財源になるそうです。



追いついてください、追い越してください DAY 1

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出席者はdelegates と呼ばれ、(使節団、派遣団)、
動物福祉発展途上国で動物シェルターを運営している人たちが、
イギリスの動物福祉を勉強しにやってくるという図式です。

しかし運営者は必ずしもその国の人たちではありません。
たとえば、今回の出席者は、中国代表はカナダ人と中国人、
台湾でサンクチュアリーを運営しているのはイギリス人、
キプロスで猫と犬を保護してドイツに送っているのはイギリス人でした。
あとはインド、ナイジェリア、フィンランド、ハンガリー、ルーマニア、
そしてイギリス在住の日本人のワタシなどなど。


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Day 1

月曜日、使節団は滞在先のホテルからドッグ・トラスト・リホーミングセンターの一つである
ロンドン郊外のヘアフィールド・センターへ移動。

部長からドッグ・トラスト・インターナショナルの活動の説明。
スタンダード・オペレーション・システム(SOP)の設定と実施がどれだけ大切かを説く。

普段はフル稼働の動物救急車を特別見学。

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午後は教育チームが教育プログラムの作成、開発そして適用を説明。
イギリス国内の小学校、中学校を教育訪問をする。
教材はドッグ・トラストのホームページからダウンロードできるそうです。

次はセンター・マネージャーによる設備見学。
まずドッグ・トラストの敷地内に足を踏み入れたその時から
ポジティブ、フレンドリーなシャワーの雨。
明るい黄色いロゴが建物のあちこちに燦然と輝いています。
犬を見せる工夫も素晴らしく、だれでもいつでも犬たちを見ることができます。
(譲渡できる人に慣れている犬のみ)
檻ではなく、ガラス張り。犬の臭い穴を設けて、
犬を安心させる工夫も忘れません。

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後ろに同じ大きさの運動、トイレ場所があり、犬たちが自由に行き来できるようになっています。
コントラスト効果でそれぞれの魅力が引き出せるよう2匹でペアを組ませます。

建物の内外を使って犬の日々の生活や環境を念入りに考慮した工夫もなされています。
外には草、コンクリート、砂の3種類の敷地を用意し、
塀の高さや形も犬の社会性を促進するように作られているのです。

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本日の最後はインターナショナル・キャットケアから猫の専門家を招いてTNRの説明。

そしてセンター・マネージャーの締めくくり

「2013年のイギリスの犬の殺戮処分数は7800匹です。
その数もまだまだ多いと思いますが、
昔はやはり他の国にようにとても多かった。
ここはユートピアです。私たちもここまで来るのに150年かかりました。
追いついてください。追い越してください」

センターの焦点はいつもどこでも何があってもポジティブ。
これは本当に素晴らしいインスピレーションでした。

イギリスが誇るスタンダード・オペレーション・システムについてはまた後日詳しく




プロフィール

ノーマンテイラー邦子

Author:ノーマンテイラー邦子
ロンドン在住/通訳・翻訳業
保護猫延べ6匹、保護犬一匹、庭にキツネ3匹ほど
ホームページはただいまサーバーの不具合で閉鎖中
少々お待ちください。
contact: alicetigger24★hotmail.com

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